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私の仕事は、葬儀専門の司会です。

先日は、80代の男性の家族葬でした。

奥様である喪主さんは、今回は一切外部の人は呼ばず、ごく近い身内だけで見送りたい、極端な希望としては、娘と二人だけで見送りたい、との強いご意向だったそうですが、一人娘さんのご主人の会社関係者が知らせを受けて何人かお参りに来る事を知り、意に沿わずお気持ちの混乱があったのか、通夜間際まで会館にいらっしゃいませんでした。
私は喪主さんの代わりに娘さんと打ち合わせを終え、喪主さんをお待ちしていました。

30分前程にようやく来て下さり、祭壇も気に入って下さった様子に担当さんとホッとし、そして開式。

お参りの外部の方は結局2名だけでしたが、喪主さん自らその方達に直接お礼を言われ、娘さんご夫婦ともめる事もなく、ひと安心。

通夜の挨拶では娘さんがお父さんの思い出話をされ、そして翌日の葬儀では、娘さんに続き喪主さんも挨拶されました。

数年前からご病気でしたが、ここ半年間入られていた療養施設では、眺めの素晴らしい部屋に恵まれ、季節ごとにその景色を楽しみ、軒下のつばめの巣を一緒に見守ったこと、今までした事もない髭剃りや散髪などの世話をしたこと、そして、その度に『ありがとう』と言い、帰る時にはいつも『気をつけて』と言ってくれたこと…。
結婚生活50年、こんな事言ってもらった事なかったんです、と泣き崩れていました。
みなさんのお陰で、本当に穏やかに主人と過ごせた最後の半年間でした、と。

静かな、でもとても心のこもった、10人の家族葬でした。

心よりご冥福をお祈りします。合掌。

・・・・・・・・・・・・・・・

昨今は家族葬ブームですね。これからもこんな形は増えると思います。
誰を呼ぶか、どんな規模の式にするか、香典や供花は受けるのか、etc…。時には意見が違って親族さんでもめる事もあるでしょう。
私もそんな場に居合わせることが時々ありますが、私はできるだけ、やはり故人さんと近い遺族さん、喪主さん(ほとんどの場合、施主であり、支払いをされる方)の思いや意向を尊重されるのがよいのでは、と思います。。
以前、息子さん達にとても無下にされ、何か意見を言っても全て『オカンは黙っとけ』とピシャリと言われていた喪主さんがいました。しょんぼりされている姿を傍らで見ていてほんとにかわいそうで…。お母さんそんなおかしな事言ってないですよ、どうかもう少し優しくしてあげて。と息子さん達に思わず言いたくなったのを我慢したのを思い出しました。

司会者はあくまでも進行係、黒子ですから、差し出がましい意見などできないので。。皆さんでお話し合い下さいね、とそっと申し上げて見守るのみ…(らちがあかなければ担当さんと動きます)。

ご不幸ごとですから、皆さん気持ちも不安定で、ナーバスにもなってしまうと思いますが…愛する大切な人とのお別れで、一緒に集まって見送る人達の中でもめるのは本当に残念なことです。

そうならない為にも、残される人達に、こんな式にしてほしいといった意向を話しておくとか、呼んで欲しい人をエンディングノートにリストアップしておくのもいいですね。

著者プロフィール Mariko(マリコ)

4年前に38才で葬儀業界に崖っぷち転職したシングルマザー。天職に出逢えた事に喜びを感じつつ、ますます葬儀司会の仕事にハマる。日々マイクを片手に、色んな思いを胸にお別れのお手伝いをしています。

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Marikoおくりびと日記(葬儀専門司会者の思い)
私の仕事は、葬儀専門の司会です。 先日は、80代の男性の家族葬でした。 奥様である喪主さんは、今回は一切外部の人は呼ばず、ごく近い身内だけで見送りたい、極端な希望としては、娘と二人だけで見送りたい、との強いご意向だったそうですが、一人娘さんのご主人の会社関係者が知らせを受けて何人かお参りに来る事を知り、意に沿わずお気持ちの混乱があったのか、通夜間際まで会館にいらっしゃいませんでした。 私は喪主さんの代わりに娘さんと打ち合わせを終え、喪主さんをお待ちしていました。 30分前程にようやく来て下さり、祭壇も気に入って下さった様子に担当さんとホッとし、そして開式。 お参りの外部の方は結局2名だけでしたが、喪主さん自らその方達に直接お礼を言われ、娘さんご夫婦ともめる事もなく、ひと安心。 通夜の挨拶では娘さんがお父さんの思い出話をされ、そして翌日の葬儀では、娘さんに続き喪主さんも挨拶されました。 数年前からご病気でしたが、ここ半年間入られていた療養施設では、眺めの素晴らしい部屋に恵まれ、季節ごとにその景色を楽しみ、軒下のつばめの巣を一緒に見守ったこと、今までした事もない髭剃りや散髪などの世話をしたこと、そして、その度に『ありがとう』と言い、帰る時にはいつも『気をつけて』と言ってくれたこと...。 結婚生活50年、こんな事言ってもらった事なかったんです、と泣き崩れていました。 みなさんのお陰で、本当に穏やかに主人と過ごせた最後の半年間でした、と。 静かな、でもとても心のこもった、10人の家族葬でした。 心よりご冥福をお祈りします。合掌。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 昨今は家族葬ブームですね。これからもこんな形は増えると思います。 誰を呼ぶか、どんな規模の式にするか、香典や供花は受けるのか、etc...。時には意見が違って親族さんでもめる事もあるでしょう。 私もそんな場に居合わせることが時々ありますが、私はできるだけ、やはり故人さんと近い遺族さん、喪主さん(ほとんどの場合、施主であり、支払いをされる方)の思いや意向を尊重されるのがよいのでは、と思います。。 以前、息子さん達にとても無下にされ、何か意見を言っても全て『オカンは黙っとけ』とピシャリと言われていた喪主さんがいました。しょんぼりされている姿を傍らで見ていてほんとにかわいそうで...。お母さんそんなおかしな事言ってないですよ、どうかもう少し優しくしてあげて。と息子さん達に思わず言いたくなったのを我慢したのを思い出しました。 司会者はあくまでも進行係、黒子ですから、差し出がましい意見などできないので。。皆さんでお話し合い下さいね、とそっと申し上げて見守るのみ...(らちがあかなければ担当さんと動きます)。 ご不幸ごとですから、皆さん気持ちも不安定で、ナーバスにもなってしまうと思いますが...愛する大切な人とのお別れで、一緒に集まって見送る人達の中でもめるのは本当に残念なことです。 そうならない為にも、残される人達に、こんな式にしてほしいといった意向を話しておくとか、呼んで欲しい人をエンディングノートにリストアップしておくのもいいですね。 著者プロフィール Mariko(マリコ) 4年前に38才で葬儀業界に崖っぷち転職したシングルマザー。天職に出逢えた事に喜びを感じつつ、ますます葬儀司会の仕事にハマる。日々マイクを片手に、色んな思いを胸にお別れのお手伝いをしています。