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数珠は買う必要があるか?

必ずしも必要ではないが、葬儀に参列する機会がある場合は持っていた方がよい

数珠はもともと念仏の際に音を立てて揉んだり、念仏の回数を数えるための仏具で、念珠とも呼ばれます。念仏の仏具ということで、仏式の葬儀がほとんどの日本では参列者のほとんどが数珠を持参しています。

数珠ですが、葬儀において絶対必要というわけではありません。もちろん、仏教以外の信仰がある人は身に付ける必要はありませんし、仏式の葬儀に数珠を持っていないからと言って、マナー的に特別な問題があるわけではありません。

しかし現状、多くの参列者が数珠を持参してきており、数珠を持っていない人は目立ってしまうことも確かです。中には数珠は持ってきたほうがよいと考える人もいるので、葬儀に参列する機会が増えてくる場合は数珠を持っていたほうがよいでしょう。

数珠は基本的には貸し借りできない

数珠は原則個人用で、他人に貸し借りしてはいけないと言われています。数珠は葬儀で念仏の数を数える以外にも、厄除けやお守りの意味合いも持っています。お守りを貸し借りしないように、数珠も基本的には貸し借りしないものです。

一方で、数珠を譲渡することはあります。節目のプレゼントであったり、形見として譲り受けたりといったケースがあるでしょう。

やむを得ない事情がある場合は別ですが、数珠を購入する場合は使い回しなどは考えずに自分だけが使うという前提で選ぶ必要があります。

社会人になったら数珠を持っておこう

「社会人のマナーとして数珠は持っておく」とよく言われるように、数珠を購入するひとつの大きな節目はやはり社会人になった時です。

社会人になってからは、葬儀に参列する機会も徐々に増えてきます。また、出先で訃報を受けて通夜に向かわなければならないときなど、急に数珠が必要な場面もあるでしょう。本来はなくても問題はありませんが、「社会人のマナーとして数珠を持っているのは当然」と考える人もいます。

社会人になったときに自分で購入したり、社会人になる人へのプレゼントにもよいでしょう。最初は略式でよいので、一つは持っておくと安心です。

数珠の選び方

略式の数珠か、宗派正式の数珠か

数珠には各宗派の正式な数珠と珠の数や形などを省略した宗派共通の略式の数珠があります。数珠を購入する必要がある場合、まず略式の数珠を購入するのか宗派の正式な数珠を購入するのかを考えなければなりません。

数珠を選ぶにあたって必ずしなければならないのは、自分の宗派の確認です。宗派によっては在家は略式数珠を用いることが多い宗派や、略式でも正式でもいい宗派、逆に正式な数珠でなければならない宗派など、数珠に対する考え方が様々です。略式でも正式でもよい宗派の場合は、好みにもよりますが、時期的な判断も必要になってきます。

はじめて数珠を購入する場合は略式数珠の購入をオススメします。実際に数珠を持っている人のほとんどが略式の数珠です。持ち方もシンプルなので、あなたの家の宗派が浄土宗や日蓮宗の場合は宗派正式の数珠を購入したほうが良いでしょう。浄土宗は在家信者にも本式数珠の使用を推奨しており、日蓮宗に至っては必ず本式数珠を使用しなければならないとされています。

宗派正式の数珠はいつ購入してもよいですが、一家の長になり喪主を務める立場になった場合は宗派正式の数珠を購入するのもよいと思います。数珠が宗派ごとに異なるのは宗派の考えが反映されているからであり、仏事に触れ合う機会が多くなる年齢にはふさわしい仏具と言えます。また、結納品や婚礼品にも使用されることがあり、新しく家に迎え入れる家族にその家の宗派の数珠を与えるという意味合いも込められています。

なお、腕にはめるタイプの数珠ブレスレットは一般的に略式の数珠にも含まれていません。アクセサリーとして身に付ける分には問題ありませんが、葬儀や法事の際には使用できないので注意が必要です。

男性用か、女性用か

仏具店などに行くと、数珠に男性用の数珠女性用の数珠に分かれていることに気づかれると思います。男女の手のサイズにあった珠の大きさや、珠や房の色合いの違いがあるほか、宗派の正式な数珠の中には男性用と女性用で珠の数などが異なるものもあります。

男性が女性用を、女性が男性用を使っても基本的には問題はありませんが、女性用は男性用より一回りサイズが小さく、色合いも不自然となるのであまりおすすめできません。

材質の違い

数珠の珠は様々な材質が使用されます。仏教で貴重とされている七宝をはじめとする天然石や、菩提樹や黒檀などの木材などが数珠の素材となっています。宗派正式のものは材質が決まっているものもありますが、略式の数珠であれば材質はお好みでも構いません。

女性は本水晶やオニキスなどの天然石の数珠が人気です。見た目も美しく、明るい色のものが多いのが特徴です。

菩提樹の下で釈迦が悟りを開いたことから、菩提樹の実を使った数珠も人気です。また仏壇や位牌などにも使われる唐木を使用した数珠も高級感があり、人気があります。

地域性の違い

地域性の違いにも留意しておく必要があります。数珠は基本的に慶弔で使い分ける必要はないのですが、慶事用の数珠(結納や婚礼などに使う)と葬儀・法要などの弔事用の数珠が明確に分かれている地域もあることに注意が必要です。

例えば、名古屋や金沢など東海地方や北陸地方の一部では、法事や他の仏事などは色のついた数珠でも大丈夫ですが、葬儀では女性の数珠珠色が無色で房が白の数珠を使っています。他の地域から引っ越してきて、淡い朱色の数珠で参列したところ数珠のマナーを指摘されるということも起こりうるということです。

そのため、住んでいる地域や参列する地域の数珠の慣習を確認しておくということも重要です。家族や親戚、地域の知人などに確認してみるのもよいでしょう。

数珠の値段、相場

数珠を選ぶ際には値段ももちろん重要です。数珠は1万円以下の安い数珠もありますが、相場は1~3万円のものが多いです。略式のものであれば5,000円〜10,000円くらいのものを選び、本連数珠は10,000~30,000円のものが多いです。

数珠は高級な素材を使っているものでは10万円以上するものもあります。数珠はお葬式で使用するイメージが強いですが、普段から魔除け・厄除けとして持っておくのも決して悪いことではありません。昨今のパワーストーンブームで、希少価値の高い素材を使った数珠も人気を集めています。

数珠は歳を重ねるにつれて、使う機会も増えてきます。長い期間使うものなので、良い物を購入しておいても十分に元は取れるでしょう。数珠がもし壊れた場合も修理などが可能なので、大切に長い期間使うことを考えて購入するようにしましょう。

数珠の宗派ごとの違い

どの宗派の数珠にも共通して言えること

数珠はそれぞれの宗派ごとに形や決まりが異なります。正式な数珠はお坊さんや在家信者など、数珠・念珠選びは自分の宗派の数珠について正しい知識を得ることが何よりも重要になります。参列者の立場であれば、宗派不問の略式の数珠でもいいですが、

どの宗派にも共通して言えることは、実際の購入・使用については菩提寺に確認することです。菩提寺の他にも所属宗派の本山や仏具店などでもよいでしょう。

宗派の正式な数珠は出家したお坊さんが身に付けるもので、檀家(在家)の人は略式の数珠でもよい宗派がほとんどです。以下は一般の在家信者が使用する正式な数珠です。(一部、略式数珠も含まれています。)

宗派 在家の人の正式な数珠(念珠) 主珠 親珠 四天珠 備考
真言宗 振分数珠 108 2 4  女性は振分数珠を他宗派(日蓮宗を除く)でも使用可能
天台宗 天台念珠 108 1 4 珠の形状が球形ではなく扁平な平玉が特徴。天台宗が主に使っているが他宗派でも一部見られる。
正式な数珠はお坊さんが使う事が多く、在家は略式の念珠を使うことが多い。
浄土宗 男性:三万浄土(三万繰)
女性:八寸浄土(六万繰)
男性:27+20(+副珠21)
女性:40+27(+副珠28)
在家信者にも在家用の本式数珠である「日課数珠」を推奨している
浄土真宗 片手念珠 基本的に不定
(八寸門徒は主珠108、親珠2、四天珠4)
本願寺派、大谷派ともに基本的に珠の数、材質の決まりはない
門徒(在家)は男女とも略式の片手念珠を使うことが一般的
大谷派の女性門徒は本連数珠「八寸門徒」を用いることもある
臨済宗 看経念珠 108 1 4
曹洞宗 看経念珠(輪入わいり) 108 2 4 臨済宗の数珠と似ているが百八環金と呼ばれる金属製の輪が通してある
日蓮宗 法華念珠 108 2 4 在家信者も必ず本式数珠を用いる

日蓮宗や浄土宗を除いて、基本的には略式の片手念珠などを利用するのが一般的です。また、女性は真言宗の振分数珠を幅広い宗派で使用することができます。

真言宗の数珠の選び方

八宗の中でも真言宗は特に数珠を大事にすると言われています。真言宗の本式数珠は振分数珠と呼ばれます。108ある主珠がお経で、7回や33回などのお経を数えやすいところに四天珠が区切りとして配置されていることが特徴です。

この振分数珠は真言宗の正式な数珠ですが、女性は日蓮宗以外の他宗派でも使える非常に汎用性の高い数珠となっています。そのため、女性は振分念珠を持っていることが多いです。

お遍路・四国八十八箇所巡りの数珠

四国にある空海(弘法大師)ゆかりの88ヶ所の霊場をめぐる老若男女問わず人気の四国巡礼ですが、真言宗だけでなく他宗派の人も盛んにお遍路を巡礼しています。88箇所の寺院も真言宗のお寺がほとんどですが、中には他宗派のお寺も混じっています。

巡礼者は正式には白衣や菅笠、地下足袋などのお馴染みの白装束で巡礼しますが、この際念珠も日蓮宗以外は振分数珠を使用することが多いようです。(もちろん、自分の宗派の数珠でも構いません。)宗派を問わず巡礼者の多いお遍路が、振分数珠が他宗派でも使われるようになった所以なのかもしれません。

天台宗の数珠の選び方

天台宗の正式な数珠は108珠で、主珠には球形ではなく平べったい平玉を使っているのが特徴です。平玉は天台宗の正式な数珠に多いですが、他宗派の数珠にも使われています。二輪にはせず、一輪でそのまま手を合わせます。

天台宗の場合、本式数珠はお坊さんが使う事が多く、在家信者は略式の数珠を使う事が多いようです。男性は片手念珠、女性は振分念珠か片手念珠を使うことが多いです。

浄土宗の数珠の選び方

最も形状が異なるのが浄土宗の数珠で、2つの輪をつなげた形状になっています。これは在家信徒が使う念珠で「日課数珠」と呼ばれています。基本的な構造は2つの輪は同数ではなく、主珠が少ない方の輪は副珠が主珠の間に挟まれる形になっています。浄土宗は日課としてお経を唱えることを重視しており、数珠も珠の形状や色などにはこだわらずに念仏の回数を数えることに特化していることが特徴です。

日課数珠は男性信徒の場合は主珠が27珠の輪と20珠の輪が繋がったものを使用します。房についている珠も合わせると、お経を約三万回数えることができるため、三万浄土三万繰と呼ばれています。女性の場合は小さめの珠を連ねた八寸浄土と呼ばれる数珠を使用します。小ぶりの珠を使用している分、珠の数も多くなり、主珠の数は40珠と27珠です。男性信徒用とくらべて2倍の約六万回数えられるため、六万繰とも呼ばれています。

僧侶も日課数珠の他に修行や開眼法要に使う修法数珠や葬儀や重要な法要で使用する荘厳数珠なども使用します。

浄土宗の念仏の数え方

念仏を唱えるたびに片方の珠を一つ繰り、それが一周したときにもう片方の珠を繰ります。男性用は27×20=540回、女性用は40×27=1080回です。さらに房に丸珠の弟子玉が6珠と平珠の弟子珠が10個つきます。男性用は27×20×6×10=32400回、女性用は40×27×6×10=64800回数えることができるというわけです。

浄土真宗の数珠の選び方

浄土真宗は念仏の回数にはこだわらないため、玉の数や形状などは基本的には決まっていません。浄土真宗の一般の男性門徒は略式数珠である片手数珠を使います。正式数珠「門徒」も使用可能ですが、あまり奨められていません。

本願寺派の女性門徒は男性と同じく略式の片手念珠や振分数珠を用いることが推奨されています。大谷派の女性門徒は片手念珠、振分数珠の他に本連数珠「八寸門徒」を用いることもあります。浄土真宗の正式数珠は片方の房が蓮如結びになっていることが特徴です。浄土真宗は即往生の考えなので、念仏の回数によって煩悩を打ち消す必要がないと考えられているため、房の弟子玉を固定することで念仏の数取りができないような結び方となっているのです。

臨済宗の数珠の選び方

臨済宗は看経念珠という数珠が正式な数珠となります。珠の配置は天台宗用と同じですが、天台宗が平珠を用いるのが多いのに対して看経数珠は丸珠を用います。

同じ禅宗である曹洞宗もほとんど同じ看経念珠を使いますが、曹洞宗の看経数珠には金属の輪が通してあることが違う点です。

一般的には片手数珠を用いることが多く、女性も振分を使うことがありますが、本式数珠が非推奨なわけではありません。

曹洞宗の数珠の選び方

臨済宗と同じく看経念珠を用いますが、曹洞宗は「百八環金」と呼ばれる金属製の輪が通してあります。百八看経の意味は定かではありませんが、輪があるかないかで宗派が区別されているので注意が必要です。

臨済宗と同じく、一般的には片手数珠を用いることが多く、女性も振分を使うことがありますが、本式数珠が非推奨なわけではありません。

日蓮宗の数珠の選び方

日蓮宗は一般の在家信者であっても日蓮宗正式の「法華念珠」を使用する必要があります。他宗派では略式念珠や、あるいは真言宗の振分数珠などを使用することができますが、日蓮宗では必ず法華念珠を使用しなければならないことに注意が必要です。

日蓮宗は片側は房が2本、もう片方は房が3本あるのも特徴的です。法華念珠は女性の基本的なサイズである二双法華、男性の一般的なサイズで男女兼用としても使われる二双半法華、より大きいサイズの三双法華などがあります。

房の色は自由ですが、分派した日蓮正宗では白を使用する必要があります。

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https://memories-in-time.net/wp-content/uploads/2016/01/juzu-erabikata-1024x576.jpghttps://memories-in-time.net/wp-content/uploads/2016/01/juzu-erabikata-150x150.jpgおさる仏具・仏壇・位牌のこと
数珠は買う必要があるか? 必ずしも必要ではないが、葬儀に参列する機会がある場合は持っていた方がよい 数珠はもともと念仏の際に音を立てて揉んだり、念仏の回数を数えるための仏具で、念珠とも呼ばれます。念仏の仏具ということで、仏式の葬儀がほとんどの日本では参列者のほとんどが数珠を持参しています。 数珠ですが、葬儀において絶対必要というわけではありません。もちろん、仏教以外の信仰がある人は身に付ける必要はありませんし、仏式の葬儀に数珠を持っていないからと言って、マナー的に特別な問題があるわけではありません。 しかし現状、多くの参列者が数珠を持参してきており、数珠を持っていない人は目立ってしまうことも確かです。中には数珠は持ってきたほうがよいと考える人もいるので、葬儀に参列する機会が増えてくる場合は数珠を持っていたほうがよいでしょう。 数珠は基本的には貸し借りできない 数珠は原則個人用で、他人に貸し借りしてはいけないと言われています。数珠は葬儀で念仏の数を数える以外にも、厄除けやお守りの意味合いも持っています。お守りを貸し借りしないように、数珠も基本的には貸し借りしないものです。 一方で、数珠を譲渡することはあります。節目のプレゼントであったり、形見として譲り受けたりといったケースがあるでしょう。 やむを得ない事情がある場合は別ですが、数珠を購入する場合は使い回しなどは考えずに自分だけが使うという前提で選ぶ必要があります。 社会人になったら数珠を持っておこう 「社会人のマナーとして数珠は持っておく」とよく言われるように、数珠を購入するひとつの大きな節目はやはり社会人になった時です。 社会人になってからは、葬儀に参列する機会も徐々に増えてきます。また、出先で訃報を受けて通夜に向かわなければならないときなど、急に数珠が必要な場面もあるでしょう。本来はなくても問題はありませんが、「社会人のマナーとして数珠を持っているのは当然」と考える人もいます。 社会人になったときに自分で購入したり、社会人になる人へのプレゼントにもよいでしょう。最初は略式でよいので、一つは持っておくと安心です。 数珠の選び方 略式の数珠か、宗派正式の数珠か 数珠には各宗派の正式な数珠と珠の数や形などを省略した宗派共通の略式の数珠があります。数珠を購入する必要がある場合、まず略式の数珠を購入するのか宗派の正式な数珠を購入するのかを考えなければなりません。 数珠を選ぶにあたって必ずしなければならないのは、自分の宗派の確認です。宗派によっては在家は略式数珠を用いることが多い宗派や、略式でも正式でもいい宗派、逆に正式な数珠でなければならない宗派など、数珠に対する考え方が様々です。略式でも正式でもよい宗派の場合は、好みにもよりますが、時期的な判断も必要になってきます。 はじめて数珠を購入する場合は略式数珠の購入をオススメします。実際に数珠を持っている人のほとんどが略式の数珠です。持ち方もシンプルなので、あなたの家の宗派が浄土宗や日蓮宗の場合は宗派正式の数珠を購入したほうが良いでしょう。浄土宗は在家信者にも本式数珠の使用を推奨しており、日蓮宗に至っては必ず本式数珠を使用しなければならないとされています。 宗派正式の数珠はいつ購入してもよいですが、一家の長になり喪主を務める立場になった場合は宗派正式の数珠を購入するのもよいと思います。数珠が宗派ごとに異なるのは宗派の考えが反映されているからであり、仏事に触れ合う機会が多くなる年齢にはふさわしい仏具と言えます。また、結納品や婚礼品にも使用されることがあり、新しく家に迎え入れる家族にその家の宗派の数珠を与えるという意味合いも込められています。 なお、腕にはめるタイプの数珠ブレスレットは一般的に略式の数珠にも含まれていません。アクセサリーとして身に付ける分には問題ありませんが、葬儀や法事の際には使用できないので注意が必要です。 男性用か、女性用か 仏具店などに行くと、数珠に男性用の数珠と女性用の数珠に分かれていることに気づかれると思います。男女の手のサイズにあった珠の大きさや、珠や房の色合いの違いがあるほか、宗派の正式な数珠の中には男性用と女性用で珠の数などが異なるものもあります。 男性が女性用を、女性が男性用を使っても基本的には問題はありませんが、女性用は男性用より一回りサイズが小さく、色合いも不自然となるのであまりおすすめできません。 材質の違い 数珠の珠は様々な材質が使用されます。仏教で貴重とされている七宝をはじめとする天然石や、菩提樹や黒檀などの木材などが数珠の素材となっています。宗派正式のものは材質が決まっているものもありますが、略式の数珠であれば材質はお好みでも構いません。 女性は本水晶やオニキスなどの天然石の数珠が人気です。見た目も美しく、明るい色のものが多いのが特徴です。 菩提樹の下で釈迦が悟りを開いたことから、菩提樹の実を使った数珠も人気です。また仏壇や位牌などにも使われる唐木を使用した数珠も高級感があり、人気があります。 地域性の違い 地域性の違いにも留意しておく必要があります。数珠は基本的に慶弔で使い分ける必要はないのですが、慶事用の数珠(結納や婚礼などに使う)と葬儀・法要などの弔事用の数珠が明確に分かれている地域もあることに注意が必要です。 例えば、名古屋や金沢など東海地方や北陸地方の一部では、法事や他の仏事などは色のついた数珠でも大丈夫ですが、葬儀では女性の数珠は珠色が無色で房が白の数珠を使っています。他の地域から引っ越してきて、淡い朱色の数珠で参列したところ数珠のマナーを指摘されるということも起こりうるということです。 そのため、住んでいる地域や参列する地域の数珠の慣習を確認しておくということも重要です。家族や親戚、地域の知人などに確認してみるのもよいでしょう。 数珠の値段、相場 数珠を選ぶ際には値段ももちろん重要です。数珠は1万円以下の安い数珠もありますが、相場は1~3万円のものが多いです。略式のものであれば5,000円〜10,000円くらいのものを選び、本連数珠は10,000~30,000円のものが多いです。 数珠は高級な素材を使っているものでは10万円以上するものもあります。数珠はお葬式で使用するイメージが強いですが、普段から魔除け・厄除けとして持っておくのも決して悪いことではありません。昨今のパワーストーンブームで、希少価値の高い素材を使った数珠も人気を集めています。 数珠は歳を重ねるにつれて、使う機会も増えてきます。長い期間使うものなので、良い物を購入しておいても十分に元は取れるでしょう。数珠がもし壊れた場合も修理などが可能なので、大切に長い期間使うことを考えて購入するようにしましょう。 数珠の宗派ごとの違い どの宗派の数珠にも共通して言えること 数珠はそれぞれの宗派ごとに形や決まりが異なります。正式な数珠はお坊さんや在家信者など、数珠・念珠選びは自分の宗派の数珠について正しい知識を得ることが何よりも重要になります。参列者の立場であれば、宗派不問の略式の数珠でもいいですが、 どの宗派にも共通して言えることは、実際の購入・使用については菩提寺に確認することです。菩提寺の他にも所属宗派の本山や仏具店などでもよいでしょう。 宗派の正式な数珠は出家したお坊さんが身に付けるもので、檀家(在家)の人は略式の数珠でもよい宗派がほとんどです。以下は一般の在家信者が使用する正式な数珠です。(一部、略式数珠も含まれています。) 宗派 在家の人の正式な数珠(念珠) 主珠 親珠 四天珠 備考 真言宗 振分数珠 108 2 4  女性は振分数珠を他宗派(日蓮宗を除く)でも使用可能 天台宗 天台念珠 108 1 4 珠の形状が球形ではなく扁平な平玉が特徴。天台宗が主に使っているが他宗派でも一部見られる。 正式な数珠はお坊さんが使う事が多く、在家は略式の念珠を使うことが多い。 浄土宗 男性:三万浄土(三万繰) 女性:八寸浄土(六万繰) 男性:27+20(+副珠21) 女性:40+27(+副珠28) - - 在家信者にも在家用の本式数珠である「日課数珠」を推奨している 浄土真宗 片手念珠 基本的に不定 (八寸門徒は主珠108、親珠2、四天珠4) 本願寺派、大谷派ともに基本的に珠の数、材質の決まりはない 門徒(在家)は男女とも略式の片手念珠を使うことが一般的 大谷派の女性門徒は本連数珠「八寸門徒」を用いることもある 臨済宗 看経念珠 108 1 4 曹洞宗 看経念珠(輪入わいり) 108 2 4 臨済宗の数珠と似ているが百八環金と呼ばれる金属製の輪が通してある 日蓮宗 法華念珠 108 2 4 在家信者も必ず本式数珠を用いる 日蓮宗や浄土宗を除いて、基本的には略式の片手念珠などを利用するのが一般的です。また、女性は真言宗の振分数珠を幅広い宗派で使用することができます。 真言宗の数珠の選び方 八宗の中でも真言宗は特に数珠を大事にすると言われています。真言宗の本式数珠は振分数珠と呼ばれます。108ある主珠がお経で、7回や33回などのお経を数えやすいところに四天珠が区切りとして配置されていることが特徴です。 この振分数珠は真言宗の正式な数珠ですが、女性は日蓮宗以外の他宗派でも使える非常に汎用性の高い数珠となっています。そのため、女性は振分念珠を持っていることが多いです。 お遍路・四国八十八箇所巡りの数珠 四国にある空海(弘法大師)ゆかりの88ヶ所の霊場をめぐる老若男女問わず人気の四国巡礼ですが、真言宗だけでなく他宗派の人も盛んにお遍路を巡礼しています。88箇所の寺院も真言宗のお寺がほとんどですが、中には他宗派のお寺も混じっています。 巡礼者は正式には白衣や菅笠、地下足袋などのお馴染みの白装束で巡礼しますが、この際念珠も日蓮宗以外は振分数珠を使用することが多いようです。(もちろん、自分の宗派の数珠でも構いません。)宗派を問わず巡礼者の多いお遍路が、振分数珠が他宗派でも使われるようになった所以なのかもしれません。 天台宗の数珠の選び方 天台宗の正式な数珠は108珠で、主珠には球形ではなく平べったい平玉を使っているのが特徴です。平玉は天台宗の正式な数珠に多いですが、他宗派の数珠にも使われています。二輪にはせず、一輪でそのまま手を合わせます。 天台宗の場合、本式数珠はお坊さんが使う事が多く、在家信者は略式の数珠を使う事が多いようです。男性は片手念珠、女性は振分念珠か片手念珠を使うことが多いです。 浄土宗の数珠の選び方 最も形状が異なるのが浄土宗の数珠で、2つの輪をつなげた形状になっています。これは在家信徒が使う念珠で「日課数珠」と呼ばれています。基本的な構造は2つの輪は同数ではなく、主珠が少ない方の輪は副珠が主珠の間に挟まれる形になっています。浄土宗は日課としてお経を唱えることを重視しており、数珠も珠の形状や色などにはこだわらずに念仏の回数を数えることに特化していることが特徴です。 日課数珠は男性信徒の場合は主珠が27珠の輪と20珠の輪が繋がったものを使用します。房についている珠も合わせると、お経を約三万回数えることができるため、三万浄土や三万繰と呼ばれています。女性の場合は小さめの珠を連ねた八寸浄土と呼ばれる数珠を使用します。小ぶりの珠を使用している分、珠の数も多くなり、主珠の数は40珠と27珠です。男性信徒用とくらべて2倍の約六万回数えられるため、六万繰とも呼ばれています。 僧侶も日課数珠の他に修行や開眼法要に使う修法数珠や葬儀や重要な法要で使用する荘厳数珠なども使用します。 浄土宗の念仏の数え方 念仏を唱えるたびに片方の珠を一つ繰り、それが一周したときにもう片方の珠を繰ります。男性用は27×20=540回、女性用は40×27=1080回です。さらに房に丸珠の弟子玉が6珠と平珠の弟子珠が10個つきます。男性用は27×20×6×10=32400回、女性用は40×27×6×10=64800回数えることができるというわけです。 浄土真宗の数珠の選び方 浄土真宗は念仏の回数にはこだわらないため、玉の数や形状などは基本的には決まっていません。浄土真宗の一般の男性門徒は略式数珠である片手数珠を使います。正式数珠「門徒」も使用可能ですが、あまり奨められていません。 本願寺派の女性門徒は男性と同じく略式の片手念珠や振分数珠を用いることが推奨されています。大谷派の女性門徒は片手念珠、振分数珠の他に本連数珠「八寸門徒」を用いることもあります。浄土真宗の正式数珠は片方の房が蓮如結びになっていることが特徴です。浄土真宗は即往生の考えなので、念仏の回数によって煩悩を打ち消す必要がないと考えられているため、房の弟子玉を固定することで念仏の数取りができないような結び方となっているのです。 臨済宗の数珠の選び方 臨済宗は看経念珠という数珠が正式な数珠となります。珠の配置は天台宗用と同じですが、天台宗が平珠を用いるのが多いのに対して看経数珠は丸珠を用います。 同じ禅宗である曹洞宗もほとんど同じ看経念珠を使いますが、曹洞宗の看経数珠には金属の輪が通してあることが違う点です。 一般的には片手数珠を用いることが多く、女性も振分を使うことがありますが、本式数珠が非推奨なわけではありません。 曹洞宗の数珠の選び方 臨済宗と同じく看経念珠を用いますが、曹洞宗は「百八環金」と呼ばれる金属製の輪が通してあります。百八看経の意味は定かではありませんが、輪があるかないかで宗派が区別されているので注意が必要です。 臨済宗と同じく、一般的には片手数珠を用いることが多く、女性も振分を使うことがありますが、本式数珠が非推奨なわけではありません。 日蓮宗の数珠の選び方 日蓮宗は一般の在家信者であっても日蓮宗正式の「法華念珠」を使用する必要があります。他宗派では略式念珠や、あるいは真言宗の振分数珠などを使用することができますが、日蓮宗では必ず法華念珠を使用しなければならないことに注意が必要です。 日蓮宗は片側は房が2本、もう片方は房が3本あるのも特徴的です。法華念珠は女性の基本的なサイズである二双法華、男性の一般的なサイズで男女兼用としても使われる二双半法華、より大きいサイズの三双法華などがあります。 房の色は自由ですが、分派した日蓮正宗では白を使用する必要があります。