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2023年以降の贈与で損をしたくない人必見!今後の生前贈与の最適解と今年中に実行すべき駆け込み贈与の最適額はこれだ! | 国税OB 税理士 秋山清成

1955年1月15日生まれ、福岡県八女市出身。1973年3月、福岡県立福島高等学校卒業。同年4月、大阪国税局に採用される。1974年6月まで、税務大学校大阪研修所に入校。昭和49年7月から平成27年7月まで41年間、大阪国税局・各税務署および国税不服審判所において、主に資産課税の調査等の事務に従事する。この間、銀行・証券会社・医師会およびライオンズクラブなどにおいて多数の講演会講師を務める。2015年7月、明石税務署:副所長で退職。同年11月、秋山清成税理士事務所を開業。
【著書】
税務調査官の着眼力II 間違いだらけの相続税対策
厳しい税務調査がやってくる

みなさんこんにちは。相続専門税理士の秋山です。今日は「2023年以降の生前贈与の最適解と今年中に実行すべき最適な駆け込み贈与の金額」についてお話します。

2022年12月16日、令和5年度の税制改正大綱が公表されました。

相続贈与に関する改正点としましては、一つ目は相続開始前の暦年贈与の足し戻し期間を従来の3年から7年に延長するというもの。

二つ目は、相続時精算課税制度に年間110万円の非課税枠を設け、さらに年間110万円分までは申告も不要にするというもの、この2点が大きな改正点となります。

もう少し詳しく解説をしますと、暦年贈与というのは毎年1月1日から12月31日までのうち、年間110万円までの贈与なら非課税で財産を渡すことができるという制度です。

この暦年贈与に関して、現行の制度では被相続人が亡くなった当日からさかのぼって3年以内に行われた贈与は無効にしますよ、という足し戻し規定があるのですが、2024年1月1日以降はこの足し戻し規定を3年から7年まで段階的に延長するという改悪が行われることになりました。

ですがその一方で、従来までは使い勝手が悪く、それゆえに利用率も非常に低かった相続時精算課税制度が、今回の税制改正により大幅に改良されることにもなりました。

この相続時精算課税制度というのは、制度を利用する年の1月1日時点において、60歳以上の祖父母や父母から18歳以上の子や孫に対して生前贈与が行われた場合贈与者1人につき最大2,500万円まで受け取った金額が非課税となる制度です。

一見太っ腹に見えるこの制度ですが、現行の取り扱いにおいては相続時精算課税制度を使って贈与を行っても、過去の贈与分というのは、相続が発生した際に全て相続財産に足し戻されることになりますので、全く節税効果がありませんでした。

ですが2024年1月1日以降は、相続時精算課税制度の利用を選択した上で、贈与を行った場合、年間110万円までの贈与部分に関しては、相続財産に足し戻す必要がなくなり、さらに年間110万円部分までは申告も不要にするという素晴らしい改正が行われることになりました。

これにより、今後は将来の相続税対策を考えている多くの方がこの相続時精算課税制度を導入するかどうかを真剣に検討されることになるでしょう。

そこで今回の動画では、初めに2023年以降あなたの家庭においては、暦年贈与と相続時精算課税制度、どちらを使うべきかについて、年齢別、財産額別にこの家庭にはこの贈与がおすすめという内容を具体的にお話した上で、相続時精算課税制度の始め方と制度を始めるに際しての注意点についても解説し、最後に2023年中に行うべき駆け込み贈与の最低額について一緒に見ていきたいと思います。

今回の動画は、前回投稿したこちらの動画の後編となっております。今回の内容は、前回の動画をご覧なっていただくことにより、より一層理解していただきやすいと思いますので、まだ見ていないという方や内容を忘れてしまったという方はぜひ一度ご覧になってみてください。

【増税】2024年から暦年贈与が大改悪!今後メインとなる生前贈与の手法はこれだ!【相続・贈与の一体化】

それでは後編の内容について見ていきましょう。

①2023年以降は『暦年贈与』『相続時精算課税制度』どちらを使うべき?

2023年以降、暦年贈与と相続時精算課税制度、みなさんの家庭においてはどちらを使うべきかについて最初に結論から申しますと、今年以降、多くの家庭において、最適解となる生前贈与のスタイルというのはこちらのスライド、一番から3番の形となります。

2023年中というのは、まだ相続時精算課税制度に年間110万円の非課税枠が設けられておりませんので、引き続き、暦年贈与を活用していただき、法定相続人や法定相続人以外の孫などに生前贈与を行っていただく、そして税制改正が行われた2024年1月1日以降は、将来亡くなった方の財産を受け取る法定相続人たちには、相続時精算課税制度を使って毎年110万円を贈与していただき法定相続人以外の孫たちにはこれまで同様に暦年贈与を使って増量を行っていたら、このような形が今後のスタンダードになるでしょう。

なぜ、2024年以降は法定相続人かそれ以外かで活用する贈与制度が変わるのかと言いますと、その理由は冒頭でお話した暦年贈与の足し戻しにあります。

といいますのも、暦年贈与の足し戻しというのは、被相続人の死後に何らかの財産を相続した方が対象となるんですね。

つまり、財産を相続する権利のある法定相続人の方たちへの贈与は2024年以降は、暦年贈与の足し戻しを回避するために年間110万円までの贈与分は相続財産に足し戻さなくてもよい、相続時精算課税制度を選択し、財産を相続する権利のない法定相続人以外の方たちへの贈与は、暦年贈与の足し戻しを回避する必要がないので、引き続き年間110万円までの贈与が非課税となる暦年贈与を選択する、これが2024年以降、ベストな選択肢となるわけです。

どうでしょうか、この動画を見られている多くの方がこの一番から3番のいずれかに該当していると思います。

その上で、例外となる4番に当てはまる方もいらっしゃるでしょう。

この4番というのは、贈与者となる方の年齢が、現時点で60歳以上70歳未満とまだまだ若く、所有する財産額が2億円以上というケースです。

このような方におかれましては、2023年中も、2024年1月1日以降も法定相続人や法定相続人以外の孫たちに対して、引き続き110万円を超える。暦年贈与を行っていただければと思います。

ざっくりとした結論をお話した上で、ここからはこちらの表の一番から順番に、なぜこの最善贈与のスタイルが最適なのかについて詳しく見ていきたいと思います。

ⅰ 75歳以上の男性・80歳以上の女性

現在75歳以上の男性、または80歳以上の女性に関してですが、日本人の平均寿命が男性が81歳、女性が87歳ということからも、2023年以降も暦年贈与1本で贈与を行っていくと。高確率で相続開始前7年以内の贈与加算の影響を受けることになります。

例としまして、こちらの80歳の母親が2023年1月1日から毎年110万円の贈与を息子と娘に行い、88歳の1月1日に亡くなった場合、110万円×2人×8年分の合計1,760万円の財産を生前に渡せたと思いきや、相続開始前7年以内の贈与加算の影響により2024年1月1日以降の贈与は全て亡くなった母親の財産としてパス戻されてしまうんです。

ですので、そうならないためにも、現在75歳以上の男性、または80歳以上の女性に関しては、2023年中はまだ相続時精算課税制度に年間110万円の非課税枠が設けられておりませんので、引き続き、暦年贈与を活用していただき、法定相続人や法定相続人以外の孫などに生前贈与を行っていただく。

そして、税制改正が行われた2024年1月1日以降は、財産を相続する権利のある法定相続人の方たちへの贈与は、暦年贈与の足し戻しを回避するために年間110万円までの贈与分は相続財産に足し戻さなくてもよい、相続時精算課税制度を選択し、財産を相続する権利のない法定相続人以外の方たちへの贈与は、暦年贈与の差戻しを介する必要がないので引き続き、年間110万円までの贈与が非課税となる暦年贈与を選択する。

このような形で贈与を行っていただければと思います。

ⅱ 財産額が8,000万円以下で高齢な方

次に、現在財産額が8,000万円以下の方に関してですが、現在財産額が8,000万円以下で、贈与者の年齢が75歳以上の残債、または80歳以上の女性の方は、結論は先ほどと全く同じです。

平均寿命を考えた場合、高確率で相続開始前7年以内の贈与加算の影響を受けることになりますよね。ですので、2023年中は法定相続人や法定相続人以外の孫などに暦年贈与を行っていただき、2024年1月1日以降は法定相続人の方たちへの贈与は暦年贈与の橋本尚回避するために、相続時精算課税制度を選択していただき法定相続人以外の方たちへの贈与は引き続き、年間110万円までの贈与が非課税となる暦年贈与を選択してください。

ⅲ 財産額が8,000万円以下で60歳~70歳の方

では、現在財産額が8,000万円以下で贈与者の年齢が60歳から70歳の場合はどのような生前贈与がベストなのでしょうか?こちらの財産を7,500万円所有している佐藤家の一徹さんが2023年1月1日から毎年110万円の贈与を一成さんと次郎さん。

そして孫のみのりさんに対して行い、80歳の1月1日に亡くなった場合、2024年1月以降も暦年贈与を使い続けた場合と、2024年1月以降から、相続時精算課税制度を使い始めた場合で、最終的にどちらの方が相続税がお得になるのかを見ていきましょう。

まず一徹さんは70歳のときから年間110万円の贈与を、子供たち2人と孫1人に対して、10年間行っていますよね。ですので、70歳のときに7,500万円あった一徹さんの財産は、80歳の時点では4,200万円まで減っています。

ですが、ここ2、7年以内の贈与加算が行われ、年間110万円の暦年贈与×2人分×7年の合計1,540万円、ここから100万円の控除×2人分、合計200万円を引いた1,340万円が加えられ、一徹さんの相続税の対象となる財産額は5,540万円となります。

ここまでの計算を見られて、何で2026年から2029年の4年間に行われた贈与から100万円×2人分の控除が行われるの。と。疑問に思われた方もいらっしゃるでしょう。その理由としては、令和5年度の税制改正により、相続開始前3年以内の贈与加算が7年以内の贈与加算に延長されることで延長された4年間の間に行われた贈与については総額100万円までを相続財産に足し戻さなくても良いという取り扱いになりましたので、今回の計算においても延長された4年間の間に行われた贈与から100万円控除を2人分行っている。

というわけですね。また、先ほどもお話しましたように、亡くなった決算の財産を1円も相続しない、孫のみのりさんは贈与加算の影響を受けませんので、みのりさんに対して行われた過去の贈与は全て有効な贈与となっております。

ではその上で計算の続きに戻りまして、一徹さんの相続税の対象となる財産額は5,540万円ですので、法定相続人が子供2人の場合、5,540万円に対する相続税は134万円となります。これが2024年1月号も暦年贈与を使った場合の佐藤佳全体の相続税額ですね。

では次に2024年1月以降から、相続時精算課税制度を使った場合について見ていきましょう。まず一徹さんは、まだ相続時精算課税制度の非課税枠が導入されていない2023年中は子供2人と孫1人に対して110万円の暦年贈与を行い、孫の稔さんに対しては2024年以降も暦年贈与を継続して行います。

一方、相続時精算課税制度の非課税枠が導入された2024年1月1日からは、子供たち2人には、相続時精算課税制度を使って110万円の贈与を行いました。少しややこしく思えるかもしれませんが、要は年間110万円が非課税となる枠内で3人に対して10年間、生前贈与を行ったということですので、70歳のときに7,500万円あった一徹さんの財産は、80歳の時点では4,200万円まで減っています。

先ほどはここに7年以内の贈与加算が行われましたが、今回、一徹さんの法定相続人である一成さんや次郎さんは年間110万円までの贈与が+戻しの対象外となる相続時精算課税制度で贈与を受けていますし、孫の稔さんは先ほどの例と同様に言ってっさんの財産を1円も相続しません。

結果今回は3人全員の過去の贈与が全て有効となるわけです。その上で、佐藤家の相続人は2人で相続税の基礎控除額は4,200万円ありますので、結果的に佐藤家は相続税を1円も払うことなく一徹さんの財産を相続することができたというわけですね。

ですので、贈与者の財産額が8,000万円以下で、現在60歳から70歳の方、つまり相続時精算課税制度と暦年贈与を併用しながら、じっくりと確実に非課税枠内で増量を行う時間があるという方は、2023年中は法定相続人や法定相続人以外の孫などに暦年贈与を行っていただき、2024年1月1日以降は、法定相続人の方たちの贈与は、暦年贈与の足し戻しを回避するために、相続時精算課税制度を選択法定相続人以外の方たちへの贈与は引き続き、年間110万円までの贈与が非課税となる暦年贈与を選択してください。

ⅳ 財産額が1億~2億で60歳~70歳の方

では次は財産額が1億から2億で、贈与者の年齢が60歳から70歳の方について見ていきます。まずはこちらの赤池を見てください。赤池の父親は年齢が70歳とまだまだ若く、そういうしている財産額が1億円を超えています。

その上で、赤池の父親が2023年1月1日から毎年110万円の暦年贈与を、子供たち2人と孫1人に対して行い、80歳の1月1日に亡くなった場合と、毎年310万円の暦年贈与を子供たち2人と孫1人に対して行い、80歳の1月1日に亡くなった場合そして2024年1月以降から相続時精算課税制度を使い始めた場合で、最終的にどの方法が一番相続税がお得になるのかについて見ていきましょう。

【毎年110万円の『暦年贈与』を行う場合】

まず赤池の父親は70歳のときから年間110万円の贈与を、子供たち2人と孫1人に対して、10年間行っていますよね。ですので、70歳のときに1億5,000万円あった父親の財産は、80歳の時点では1億1,700万円です。

ですが、ここ2、7年以内の贈与加算が行われ、年間110万円の暦年贈与×2人分×7年の合計1,540万円、ここから100万円控除×2人分合計200万円を引いた1,340万円が加えられ、赤池の父親の相続税の対象となる財産額は1億3,040万円となります。

法定相続人が子供2人の場合、1億3,040万円に対する相続税は1,368万円となります。

【毎年310万円の『暦年贈与』を行う場合】

では次に、毎年310万円の暦年贈与を行う場合について見ていきましょう。まず赤池の父親は70歳のときから子供たち2人に対し、年間310万円の贈与を10年間5人に対して110万円の暦年贈与、10年間を行ったとします。

そうしますと、70歳のときに1億5,000万円あった父親の財産は、80歳の時点では1億5,000万円から7,300万円を引き、7,700万円です。ですが、ここに7年以内の贈与加算が行われ年間310万円の暦年贈与×2人分×7年の合計4,340万円、ここから100万円控除×2人分合計200万円を引いた4,140万円が加えられ、赤池の父親の相続税の対象となる財産額は1億1,840万円となります。

法定相続人が子供2人の場合1億1,840万円に対する相続税は1,128万円となりますが、足し戻された過去7年分の贈与について、既に贈与税を支払っている分は、その金額を相続税額から控除することができます。ですので、310万円の贈与に係る贈与税は20万円で、その7年分である140万円×2人分の280万円を赤池の相続税額1,128万円から控除しますので、結果会計全体で支払う相続税の合計額は848万円ということになります。

さらにその上で110万円を超える贈与を受けた子供たちはこれまで実際に400万円の贈与税を支払っていますので、これらを合算した赤池全体の累積納税額は、相続税贈与税を含めて1,248万円ということになります。

【毎年510万円の『暦年贈与』を行う場合】

ちなみに計算は省きますが、子供たち2人に510万円の贈与孫1人に110万円の贈与を10年間行った場合の会計全体の累積納税額は、相続税贈与税を含めて1,188万円ということになります。それぞれを比較してみますと、全員に対して110万円の暦年贈与を10年間行った場合の累積納税額は1,368万円で、子供たち2人に310万円の贈与、孫1人に110万円の贈与を10年間行った場合の累積納税額は1,248万円。

子供たち2人に510万円の贈与、孫1人に110万円の贈与を10年間行った場合の累積納税額は1,188万円という結果になりました。ではその上で、2024年1月以降から、相続時精算課税制度を使った場合について見ていきましょう。

【『相続時精算課税制度』で贈与を行う場合】

まず前提として、赤池の父親が70歳の時点ではまだ、相続時精算課税制度に年間110万円の非課税枠が設けられておりませんので、2023年中は子供たち2人と孫1人に対して110万円の暦年贈与を行い、そして税制改正が行われた2024年1月1日以降は子供たち2人に対し、相続時精算課税制度を使って年間110万円の贈与を9年間実行後1人に対しては引き続き110万円の暦年贈与を行ったとします。

そうしますと、70歳のときに1億5,000万円あった父親の財産は80歳の時点では1億5,000万円から3,300万円を引き、1億1,700万円です。なぜ、相続時精算課税制度を使って子供たち2人に行う贈与額が年間110万円なのかと言いますと、2024年1月1日以降に、相続時精算課税制度を使って年間110万円を超える贈与をしたとしても亡くなった方の財産に足しも出さなくてもいい金額は110万円以下までとなり、110万円を超える部分は足し戻しの対象となるからです。

つまり、110万円を超える部分の贈与というのは、相続税の節税には一切ならないんです。ですので、相続時精算課税制度を使って将来の相続税の節税対策を行う場合は、法定相続人たちへの贈与額は110万円までに抑えるように留意しておいてください。

では、計算の続きに戻りまして、法定相続人が子供2人の場合、1億1,700万円に対する相続税は1,100万円となります。その上で、今回のパターンの場合、贈与税の支払いは1円も生じませんので、会計全体の累積納税額は1,100万円となり、先ほど比較したどのパターンよりも支払う税金が少なく済みます。

つまり財産額が1億から2億の範囲内で、贈与者の年齢がまだ60歳から70歳と若い方であっても、2023年以降の贈与スタイルはこれまでと同様に、2023年中は法定相続人や法定相続人以外の孫などに暦年贈与を行っていただき、2024年1月1日以降は、法定相続人の方たちへの贈与は、暦年贈与の場所の所を回避するために、相続時精算課税制度を選択、法定相続人以外の方たちへの贈与は引き続き、年間110万円までの贈与が非課税となる暦年贈与を選択していただくのが一番節税効果が高いということですね。

では、この章の最後のケース財産額が2億以上で、贈与者の年齢が60歳から70歳の場合について見ていきましょう。

ⅴ 財産額が2億円以上で60歳~70歳の方

このケースについては、計算式もこれまでと大きく変わりませんし、該当する人自体もかなり少ないと思いますので、結果だけを見ていきます。

まず前提としては、酢漬けの母親は年齢が70歳とまだまだ若く、所有している財産額は3億円です。その上で、全員に対して110万円の暦年贈与を10年間行った場合の累積納税額は6,136万円。子供たち2人に310万円の暦年贈与、孫1人に110万円の暦年贈与位を10年間行った場合の累積納税額は5,776万円、子供たち2人に610万円の暦年贈与孫1人に110万円の暦年贈与を10年間行った場合の累積納税額は5,356万円子供たち2人に810万円の暦年贈与、孫1人に110万円の暦年贈与を10年間行った場合の累積納税額は5212万円、そして最後に子供たち2人に110万円の相続時精算課税制度、孫1人に110万円の暦年贈与を10年間行った場合の累積納税額は5,600万円という結果になりました。

この結果を見ていただくとわかりますように、財産額が2億円以上で、贈与者の年齢が60歳から70歳とまだまだお若い場合に関しては、これまでのパターンとは違い、2023年中も2024年1月1日以降も、法定相続人や法定相続人以外の区別なく、適正な暦年贈与を行っていただくのが最も節税効果が高くなるというわけですね。

ですが、先ほどもお話した通り、このように60代の方で財産を2億円以上所有されているという方は稀ですので、大部分の方においては、こちらの表の1から3の通りに増量を行っていただければと思います。では、その上で、2024年1月1日以降において、多くの方が利用を選択されるであろう、相続時精算課税制度について、次の章では、もう一度、制度の概要について復習した上で、相続時精算課税制度の始め方について見ていきたいと思います。

②相続時精算課税制度の始め方

ⅰ 相続時精算課税制度の概要

さて、改めまして、この相続時精算課税制度というのは制度を利用する年の1月1日時点において、60歳以上の祖父母や父母から18歳以上の子や孫に対して生前贈与が行われた場合、贈与者1人につき最大2,500万円まで受け取った金額が非課税となる制度です。

一見太っ腹に見えるこの制度ですが、現行の取り扱いにおいては、相続時精算課税制度を使って贈与を行っても、過去の贈与分というのは、相続が発生した際に全て相続財産に足し戻されることになりますので、全く節税効果がありませんでした。

ですが、2024年1月1日以降は、相続時精算課税制度の利用を選択した上で贈与を行った。場合、年間110万円までの贈与部分に関しては相続財産に足し戻す必要がなくなり、さらに年間110万円部分までは申告も不要にするという素晴らしい改正が行われることになりました。

ちなみに現行の相続時精算課税制度の2,500万円の非課税限度額というのは1対1の贈与契約者ごとに設けられていますので、このスライドのように子供は父親からも、相続時精算課税制度によって贈与を受けることが可能ですし、同時に母親からも相続時精算課税制度によって贈与を受けることが可能となります。

この取り扱いは2024年1月1日以降も残りますので、このスライドの長男は父親からの年間110万円までの贈与も、母親からの年間110万円の贈与も将来の相続財産に足し戻す必要もなく、翌年の申告も不要というわけですね。

ⅱ 相続時精算課税制度の始め方と開始時期

では、そんな相続時精算課税制度の手続き方法についてですが、税制改正後の相続時精算課税制度の手続き方法についてはまだはっきりとした内容が公表されておりませんので、現行の手続き方法をベースに、おそらくこうなるであろうという予想をお話していきますね。

まず2024年1月1日以降に、相続時精算課税制度を活用していきたいという場合、制度の申請自体は2024年中に行う必要はありません。

具体的にこちらの親子で見ていきますと父親と長男の間で2024年4月1日に、相続時精算課税制度を使って110万円の贈与を行うという相互認識のもと、贈与契約書を作成した上で実際に110万円を贈与2024年中に贈与を受けた長男は長男の住所を管轄する税務署に対し、2025年2月1日から3月15日までの贈与税の申告期間中に贈与税の申告書と相続時精算課税選択届出書そして贈与を受けた長男が贈与者の子や孫であることを証明するための戸籍謄本または戸籍抄本、これらは税務署に提出する、このような流れとなります。

ちなみに、ステップ2と3で、父親と湘南は贈与契約書を作成した上で贈与を行っていますが、贈与契約書の作成は必須ではありませんし、申告の際に税務署に提出しなければならないという決まりもありません。

ですが、贈与契約書というのは、いざ相続が発生した際に、あのとき贈与をもらっていたという家族内における証拠書類にもなりますので、ぜひ作成しておいていただければと思います。

さて、では本筋に戻り、相続時精算課税制度の始め方のステップ4を見てください。ステップ4では、相続時精算課税制度の利用を始めるためには、贈与税の申告書と相続時精算課税選択届出書を税務署に提出するというお話をしましたよね。

ですが、今回の税制改正により、相続時精算課税制度を選択した上での年間110万円までの贈与は翌年に贈与税の申告自体をする必要がなくなりました。

つまり、2024年1月1日以降に、相続時精算課税制度を使って贈与を行う際は、年間110万円を超える贈与が行われた場合に限り、その金額について税務署に贈与税の申告を行う必要があるのであって、将来の相続税節税のために年間110万円の枠内で相続時精算課税制度を使いたいという方におかれましては、2024年中に110万円の贈与を行い、翌年2025年の2月1日から3月15日までの期間中に相続時精算課税選択届出書を税務署に提出する。

そして、その際には贈与税の申告書の提出は不要、このような取り扱いになると思われます。

この相続時精算課税制度の始め方や必要な提出書類については、まだはっきりとしていない部分も多々ありますので、詳細が明らかになり次第、追って動画で解説をしたいと思います。

ⅲ 既に相続時精算課税制度の利用を行っている人の取り扱い

前回の動画のコメント欄にて「私はもう既に2021年から、相続時精算課税制度の利用を始めています。この場合、2024年1月1日以降の改正メリットは受けることはできないのでしょうか?」という質問をいただきました。

この点については安心してください。2021年から、相続時精算課税制度の利用をしていたとしても、2024年の1月1日以降に行われた贈与については、110万円以下の贈与は、将来の足し戻しなし110万円以下の贈与は翌年の申告も不要となります。

ではその上で、次の章では、相続時精算課税制度を利用する際の注意点について一緒に見ていきましょう。

③相続時精算課税制度を利用する際の注意点

【注意点①:2023年中の贈与に関しては改正メリットを受けれらない】

先ほど、視聴者の方への街道で2021年から、相続時精算課税制度の利用をしていたとしても、2024年の1月1日以降に行われた贈与については問題なく、改正メリットを受けることができるとお話しましたが、仮にこの視聴者の方が、2023年4月1日に110万円の贈与を受けたとしても、それは2024年1月1日の改正前になりますので、この110万円の贈与というのは、乗用車が亡くなった際に全額相続財産に足し戻されることになりますので、注意が必要です。

これはまだ制度の利用を開始されていない皆さんにとっても同様です。

2023年中というのは、まだ相続時精算課税制度の改正メリットが適用される前ですので、相続時精算課税制度を使っての節税対策はあくまでも2024年の1月1日以降から始めていただければと思います。

そして、その際の届け出書の提出は翌年、2025年の2月1日から3月15日までの期間中に行うという部分もしっかりと覚えておいてください。

【注意点②:暦年贈与との併用が出来ない】

この他にも、こちらの父親と長男が一度、相続時精算課税制度を選択すると、この両者間では贈与者がなくなるまで暦年贈与に切り替えることはできなくなるという点や、

【注意点③:価値が変動する財産の贈与は損をする可能性あり】

不動産や株式といった価値が変動する財産を年間110万円を超える金額で贈与した場合贈与を受けた人は、将来的に損をする可能性があるという点、

【注意点④:自宅不動産の贈与は慎重に行う】

また相続時精算課税制度を使って、親の自宅不動産を生前にもらってしまうと、亡くなった方が実際に住んでいた土地であれば、一定の要件を満たす相続人が相続した場合、その土地の330平方メートルまでを80%別の価格で相続できるという小規模宅地等の特例を利用することができないという注意点もあります。

これらの注意点については以前投稿したこちらの動画で解説をしておりますので、気になるという方はぜひ動画をご覧になってみてください。

【重要】相続時精算課税制度の概要と絶対に使ってはいけない人〝3選〟 https://youtu.be/RZ1UDJu0xCc

では最後に、皆さんの家庭が2023年中に行うべき駆け込み贈与の最適額について解説をしていきます。

④2023年中に行うべき駆け込み贈与の最適額

最初に結論ですが、現在の贈与者の年齢が60代から70代前半の方で、財産額が8,000万円以下の場合でしたら2023年中に急いで高額な贈与を行う必要はありません。といいますのも、なぜ今、テレビや雑誌で、2023年中に急いで駆け込み贈与をしましょうといった話題が出ているのかと言いますと、年間110万円までの贈与が非課税となる暦年贈与の3年以内加算が今年で終わり。

2024年1月1日からは段階的に4年以内加算5年以内かさ、7年以内加算と贈与加算の期間が延びていきます。

ですが、あくまでもこの加算期間の延長というのは、2024年1月1日から始まりますので2023年12月1日から毎年110万円の贈与を行っている方が2027年の12月1日に贈与を行い、その日に亡くなったとしても、贈与加算の対象となるのは2024年12月1日25年12月1日、26年12月1日、27年12月1日の4年分となり、税制改正の内容が反映される2024年1月1日より以前の贈与、つまり2023年12月1日分の贈与は足し戻し対象外となるんですね。

これは2024年1月1日以降から、相続時精算課税制度での贈与に切り替えた場合も同様です。

2023年の12月1日に暦年贈与で110万円の贈与を行い、2024年1月1日以降は、相続時精算課税制度を使い、110万円を毎年12月1日に贈与、2027年の12月1日に贈与を行い、その日に亡くなったとしても税制改正の内容が反映される2024年1月1日より以前の贈与、つまり2023年12月1日分の暦年贈与は足し戻し対象外となります。

そのため、贈与者が2027年以降に亡くなられた場合、2023年中の贈与の節税効果は丸々有効になるから、駆け込み贈与を急ぎましょうと、こういう話になっているわけです。

さて、こう聞きますと、自分の家も今年中に高額な贈与をしなくちゃ損だと多くの方が感じられるでしょうが、ちょっと待ってください。

この動画の第1章でも見ていただいた通り、現在の贈与者の年齢が60代から70代前半の方で、財産額が8,000万円以下の場合でしたら、2023年中に急いで高額の贈与を行い、余分な贈与税を納める必要はありません。

なぜなら、先ほども見ていただいた通り、2023年中は法定相続人や法定相続人以外の孫などに110万円の暦年贈与を行っていただき、2024年1月1日以降は、法定相続人の方たちへの贈与は、暦年贈与の端に戻しを回避するために相続時精算課税制度を選択して年間110万円を贈与、法定相続人以外の方たちへの贈与は引き続き、年間110万円までの贈与が非課税となる暦年贈与を選択していただく。

この方法をとっていただければ確実に将来の相続税を減らすことが可能だからです。

ですが、その一方で、現在、贈与者の年齢が男性で75歳以上、女性で80歳以上という方や、財産額が1億円以上あるという方の最適な駆け込み贈与額については、その方の家族構成や養子がいるいない、離婚、再婚歴があるかや、金融資産と不動産のバランスこういった要素によって、それぞれの家庭における本当に最適な贈与額というのは変わってきます。

ですので、現在、贈与者の年齢が男性75歳以上、女性80歳以上という方や、財産額が1億円以上あるという方で2023年中の最適な駆け込み贈与額を知りたいという方は、相続専門の税理士に相談の上で最適な金額を決定していただければと思います。

最後に皆さんにお知らせです。今年2023年の2月21日に私の新刊『元国税 相続専門40年ベテラン税理士が教える 損しない!まるわかり!相続大全』が発売されます。

当チャンネルでは既に相続贈与に関する動画が126本公開されておりますが、新しい図書では、これらの動画の内容を、損をしない相続というテーマにスポットを当て、難しい言葉などは使わず、次回もふんだんに盛り込んだ上で1冊の相続大全としてまとめ上げました。

ですので、今相続が起こっている方はもちろんのこと、将来の相続に不安があるという皆さんにもぜひ本書を1冊手元に置いていただき、不安な都度ご自身の選択が正しいのかどうかの判断材料としていただければと思います。

現在、Amazon専用ページにて予約受付が始まっておりますので、内容が気になるという方は、ぜひ販売ページからご購入いただければと思います。

◎新刊の販売ページはこちら◎ 『相続専門40年 ベテラン税理士が教える 損しない!まるわかり相続大全』

それでは次回の動画でお会いしましょう。最後までご視聴いただきありがとうございました。

秋山清成

この記事は下記の動画の内容を書き起こしています。よろしければ動画もご視聴ください。

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