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近年、火葬場が混雑して葬儀を行うのに待ち時間「多死社会」の問題がNHKなどでよく報道されています(“火葬が追いつかない”多死社会の現実)が、実態としては火葬場を併設した都市部の公営斎場が非常に人気で混み合っているという話のようです。

そんな火葬場不足が叫ばれている中、人口が最も多い東京23区の公営の火葬場が実はたった2箇所しかないって知っていました?
今回は、23区の公営の火葬場が少ない理由について調べてみました。

圧倒的に少ない23区の公営火葬場

都市 人口(2010年) 面積 公営火葬場 火葬炉数
東京23区 約895万人 622.99 km² 2箇所 10+20
横浜市 約369万人  437.40 km² 4箇所 46
大阪市 約267万人  223.00 km² 5箇所 72

人口上位都市の公営火葬場の数を見ても、都市の規模に比べて圧倒的に23区の少なさが目立ちます。
東京23区の公営火葬場は大田区にある臨海斎場と江戸川区の瑞江葬儀所のみで、臨海斎場は8基の火葬炉を併設した斎場ですが、港区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区民以外の住民は区外料金で費用が倍になります。瑞江葬儀所は20基の火葬炉を有していますが、式場は併設されておらず火葬場のみです。(表の瑞江葬儀所以外の公営火葬場はすべて式場併設です。)

斎場名 火葬炉数 式場 対象住民(対象外の住民の利用は費用高)
臨海斎場 10 組織区住民(港区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区)
瑞江葬儀所 20 東京都民

臨海斎場の組織区の5区の人口は約240万人で23区の人口の約27%です。5区以外の都民の残り73%は23区内の公営の火葬と火葬中の控室を利用する場合、臨海斎場だと約13万円、瑞江葬儀所だと約7万円の2つの選択肢をとることになります。いずれにせよ、23区内の公営の火葬場は極めて少なく、臨海斎場が設立される2004年以前はたった一箇所だけだったということになります。

23区内に公営火葬場が少ないワケ

なぜ日本で最も人口が多い都市でこれだけ公営の火葬場が少ないのでしょうか。その答えは民間の火葬場のグラフを見れば一目瞭然です。

都市 民営火葬場 火葬炉数
東京23区 7 76
横浜市 1 10
大阪市 1 3

23区内の民営火葬場だけで、横浜市・大阪市それぞれの民営・公営を含めた全炉数を超えるのです。
23区の民営の火葬場は、板橋区の戸田葬祭場以外の6箇所はすべて東京博善が運営しています。

自治体主体の地方に対し、株式会社が火葬場を整備した東京

なぜ都心部にこれだけの民営火葬場があるかは火葬の普及の歴史から見ていく必要があります。
現在日本は火葬率がほぼ100%で文句なしの世界一ですが、明治以降にまず都市部で広がりを見せ、昭和移行に地方にも火葬が広がっていきました。

明治時代に入り、東京へ人口が流入し、埋葬スペースの問題や、また故郷に遺体を持ち帰りたいという需要、伝染病予防の観点から都市部での火葬場が普及しはじめました。
樋口一葉の代表作『たけくらべ」にも出てくる日暮里の火葬場の運営を請け負う会社として明治の実業家「木村荘平」が設立したのが東京博善です。

木村荘平は天保12年京都の生まれですが、日本麦酒醸造会社(ヱビスビール)や、当時最大の牛鍋チェーン「いろは」など様々な事業を起こしています。
ちなみにこの木村荘平は「いろは」の各店舗を妾に取り仕切らせ、さらに妾との間に30人の子供を作り、荘八、荘十など生まれた順番につけるなど、かなり豪快な人物です。

荘平の死後も東京博善は都内の火葬場運営会社を吸収合併し、さらに無煙化・無臭化など火葬の近代化を進めていきます。
各都市部では各地の民間の火葬場を自治体が統廃合して公営火葬場を整備していったのに対して、東京府では東京博善が吸収合併していったのです。

火葬場の新設が難しい

自治体が整備していった他都市と違い、東京は一つの株式会社が整備したという歴史があるので、公営の火葬場が少ないという状況になっています。

では火葬場を新設するのはどうかというと、これには必ず住人の反対運動が起こります。したがって、火葬場の新設のためには公園などの公共サービスを住民対策として組み込み、結果として都市計画が10年、20年と長期化する傾向にあります。

2004年に新設された23区内初の火葬場併設斎場である臨海斎場も住宅地を避けた立地です。住民の反対運動や土地の確保、さらに民営の炉数では十分なことから23区内の公営の火葬場の新設は難しいでしょう。

23区内で安く葬儀を済ませるにはどうすればよいか

火葬場併設の公営斎場に人が殺到する一番の理由は何よりも安さです。多くは火葬場併設タイプなので、出棺の際の移動費などもなく、葬儀自体をコンパクトにできるのが大きな魅力です。

一方で民営は式場使用料等で費用がかさむ場合がほとんどです。東京博善も例えば町屋斎場であれば、火葬と休憩室を合わせて69,800円と、実は都営の瑞江葬儀所と変わらない価格で提供されています。

したがって、重要なのは火葬費用よりも式場使用料を抑えることなので、式場を公営斎場にすることで費用を抑えることができます。そして、火葬場のない公営の斎場であれば、23区内には数多くあるのです。

また、葬儀自体を家族葬直葬など、コンパクトなものにすることでも費用を抑える事ができます。
最近は特に家族葬の需要が高いため、葬儀社もプランをプランを練っています。

納得のいく葬儀にするためにも、自分や両親が住んでいる地域ではどのような施設が利用できるのか、調べておくのも良いかもしれません。

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https://memories-in-time.net/wp-content/uploads/2015/05/question-1024x576.jpghttps://memories-in-time.net/wp-content/uploads/2015/05/question-150x150.jpgおさる葬儀ニュース
近年、火葬場が混雑して葬儀を行うのに待ち時間「多死社会」の問題がNHKなどでよく報道されています('火葬が追いつかない'多死社会の現実)が、実態としては火葬場を併設した都市部の公営斎場が非常に人気で混み合っているという話のようです。 そんな火葬場不足が叫ばれている中、人口が最も多い東京23区の公営の火葬場が実はたった2箇所しかないって知っていました? 今回は、23区の公営の火葬場が少ない理由について調べてみました。 圧倒的に少ない23区の公営火葬場 都市 人口(2010年) 面積 公営火葬場 火葬炉数 東京23区 約895万人 622.99 km² 2箇所 10+20 横浜市 約369万人  437.40 km² 4箇所 46 大阪市 約267万人  223.00 km² 5箇所 72 人口上位都市の公営火葬場の数を見ても、都市の規模に比べて圧倒的に23区の少なさが目立ちます。 東京23区の公営火葬場は大田区にある臨海斎場と江戸川区の瑞江葬儀所のみで、臨海斎場は8基の火葬炉を併設した斎場ですが、港区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区民以外の住民は区外料金で費用が倍になります。瑞江葬儀所は20基の火葬炉を有していますが、式場は併設されておらず火葬場のみです。(表の瑞江葬儀所以外の公営火葬場はすべて式場併設です。) 斎場名 火葬炉数 式場 対象住民(対象外の住民の利用は費用高) 臨海斎場 10 有 組織区住民(港区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区) 瑞江葬儀所 20 無 東京都民 臨海斎場の組織区の5区の人口は約240万人で23区の人口の約27%です。5区以外の都民の残り73%は23区内の公営の火葬と火葬中の控室を利用する場合、臨海斎場だと約13万円、瑞江葬儀所だと約7万円の2つの選択肢をとることになります。いずれにせよ、23区内の公営の火葬場は極めて少なく、臨海斎場が設立される2004年以前はたった一箇所だけだったということになります。 23区内に公営火葬場が少ないワケ なぜ日本で最も人口が多い都市でこれだけ公営の火葬場が少ないのでしょうか。その答えは民間の火葬場のグラフを見れば一目瞭然です。 都市 民営火葬場 火葬炉数 東京23区 7 76 横浜市 1 10 大阪市 1 3 23区内の民営火葬場だけで、横浜市・大阪市それぞれの民営・公営を含めた全炉数を超えるのです。 23区の民営の火葬場は、板橋区の戸田葬祭場以外の6箇所はすべて東京博善が運営しています。 自治体主体の地方に対し、株式会社が火葬場を整備した東京 なぜ都心部にこれだけの民営火葬場があるかは火葬の普及の歴史から見ていく必要があります。 現在日本は火葬率がほぼ100%で文句なしの世界一ですが、明治以降にまず都市部で広がりを見せ、昭和移行に地方にも火葬が広がっていきました。 明治時代に入り、東京へ人口が流入し、埋葬スペースの問題や、また故郷に遺体を持ち帰りたいという需要、伝染病予防の観点から都市部での火葬場が普及しはじめました。 樋口一葉の代表作『たけくらべ」にも出てくる日暮里の火葬場の運営を請け負う会社として明治の実業家「木村荘平」が設立したのが東京博善です。 木村荘平は天保12年京都の生まれですが、日本麦酒醸造会社(ヱビスビール)や、当時最大の牛鍋チェーン「いろは」など様々な事業を起こしています。 ちなみにこの木村荘平は「いろは」の各店舗を妾に取り仕切らせ、さらに妾との間に30人の子供を作り、荘八、荘十など生まれた順番につけるなど、かなり豪快な人物です。 荘平の死後も東京博善は都内の火葬場運営会社を吸収合併し、さらに無煙化・無臭化など火葬の近代化を進めていきます。 各都市部では各地の民間の火葬場を自治体が統廃合して公営火葬場を整備していったのに対して、東京府では東京博善が吸収合併していったのです。 火葬場の新設が難しい 自治体が整備していった他都市と違い、東京は一つの株式会社が整備したという歴史があるので、公営の火葬場が少ないという状況になっています。 では火葬場を新設するのはどうかというと、これには必ず住人の反対運動が起こります。したがって、火葬場の新設のためには公園などの公共サービスを住民対策として組み込み、結果として都市計画が10年、20年と長期化する傾向にあります。 2004年に新設された23区内初の火葬場併設斎場である臨海斎場も住宅地を避けた立地です。住民の反対運動や土地の確保、さらに民営の炉数では十分なことから23区内の公営の火葬場の新設は難しいでしょう。 23区内で安く葬儀を済ませるにはどうすればよいか 火葬場併設の公営斎場に人が殺到する一番の理由は何よりも安さです。多くは火葬場併設タイプなので、出棺の際の移動費などもなく、葬儀自体をコンパクトにできるのが大きな魅力です。 一方で民営は式場使用料等で費用がかさむ場合がほとんどです。東京博善も例えば町屋斎場であれば、火葬と休憩室を合わせて69,800円と、実は都営の瑞江葬儀所と変わらない価格で提供されています。 したがって、重要なのは火葬費用よりも式場使用料を抑えることなので、式場を公営斎場にすることで費用を抑えることができます。そして、火葬場のない公営の斎場であれば、23区内には数多くあるのです。 また、葬儀自体を家族葬や直葬など、コンパクトなものにすることでも費用を抑える事ができます。 最近は特に家族葬の需要が高いため、葬儀社もプランをプランを練っています。 納得のいく葬儀にするためにも、自分や両親が住んでいる地域ではどのような施設が利用できるのか、調べておくのも良いかもしれません。