お墓に埋葬していたお骨を手元供養したい
お墓に納めていたお骨の一部を自宅や手元で供養したくなるケースもあります。
その場合、どのような手続きが必要でしょうか?
お骨を分ける、つまり分骨をするということになります。
分骨に関する法律があり、「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」の第5条に定められています。
第5条 墓地等の管理者は、他の墓地等に焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者の請求があつたときは、その焼骨の埋蔵又は収蔵の事実を証する書類を、これに交付しなければならない。
2 焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者は、墓地等の管理者に、前項に規定する書類を提出しなければならない。
3 前二項の規定は、火葬場の管理者について準用する。この場合において、第一項中「他の墓地等」とあるのは「墓地等」と、「埋蔵又は収蔵」とあるのは「火葬」と読み替えるものとする。
これは、分骨したいという申し出を受けたお墓等の管理者はそこにお骨が納められていたという証明書を交付しなければならない。
そして、新たにお骨を納めるお墓等の管理者にその証明書を提出しなければいけない。
また、火葬の際にお骨を分骨したいという申し出があった場合にもこれに準ずるという内容です。
では、自宅や手元で保管する場合の分骨はこの法律が適用されるのでしょうか?
答えは適用されないと一般的に解釈されています。
理由はお墓等に「埋蔵」、「収蔵」することを前提に書かれており、自宅や手元で保管することについては当てはまらないからです。
つまり証明書は必要なく、自由にお墓等からお骨を取り出し自宅や手元で保管できることになります。
ただし、勝手にお墓を掘り起こすことは現実的ではありませんので、管理者に相談をした上で行うことが好ましいでしょう。
また、将来的にそのお骨をお墓に戻したいときは、そのお骨が誰のものか証明する証明書がなければ納めることができません。
よって、将来のことを考えて証明書を取っておくことをお勧めします。
弁護士 大江哲平さんの見解
散骨や手元供養は、「埋蔵」にも「収蔵を委託」にも該当しないことは文言上明らかですので、少なくとも、墓地、埋葬等に関する法律施行規則には違反しないということができます。つまり、元の墓地等の管理者に証明書をもらわずに手元供養、散骨しても墓地、埋葬等に関する法律施行規則に違反しないということになります。